DC one dish獣医師/ペット栄養管理士の岩切です。食事は毎日の出来事。愛犬・愛猫が突然ご飯を食べなくなると不安に思いますよね。犬や猫がしっかりご飯を食べてくれないのには必ず理由があります。どのくらい様子を見てもよいのか、どんな点に注意すべきなのかを知り、もしものときに備えましょう。 前回の記事:【獣医師監修】トッピング時に知っておきたい!炭水化物源となる食材の特徴と選び方|連載「獣医さんが教える愛犬・愛猫のごはんのキホン」vol.16
もくじ
普段は勢いよく食事を食べている子が、突然ご飯を食べなくなるのには必ず理由があります。
食べない以外に症状がないようであれば、1食程度までは経過を見てみるのもひとつの方法です。その間に、嘔吐や下痢などの消化器症状はないか、どこか痛がっていないかなど、注意を払ってみてみましょう。
もしも、普段と異なる行動や症状が出ているようであれば、すぐに受診しましょう。
ただし、普段から食事にムラがある犬や猫もおり、そういった場合は獣医師でも判断に迷います。飼い主さんは、「いつもより食べない」「食べない期間が長い」など、普段の食欲のムラを伝えるようにしましょう。
子犬や子猫は、与えたら与えた分だけ食べてしまうほど食欲が旺盛です。
子犬や子猫は1日に何度も食事を摂取することで、血糖値を維持しています。そのため、成犬、成猫と異なり、食欲の低下は低血糖を起こしやすいため、様子を見ることが難しいです。
1食抜けただけでも、低血糖による発作を起こすことがあるため、ご飯を食べないときにはすぐに病院へ行きましょう。
食欲不振は、多くの病気で起こる症状のひとつであるため、ご飯を食べないだけで病気を特定するのは困難です。
食欲以外に症状が出ていないかも、貴重な情報となることがあります。便や尿から病気を診断できる場合もあるため、動物病院を受診する際は持っていくとよいでしょう。
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ホルモンバランスの変化により、食欲が低下する場合があります。特に初回の発情時は、飼い主さんも経験したことがないため、戸惑うことが多いかもしれません。
メス犬の場合は、6~10か月ごとに発情が見られます。不妊手術を行っていない場合は、定期的に同じ間隔で発情が来るはずですので、必ず記録を残しておきましょう。
また、発情出血は2週間前後で終わるのが一般的です。発情前後は、ホルモンバランスが変化し細菌感染を起こしやすいです。子宮蓄膿症などの病気になる確率も高いため、陰部の状態を含め、発情前後はより注意深く観察しましょう。
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メス猫の発情時期は、生活環境により大きく異なります。普段聞いたことがないような大声で鳴くといった行動が見られた場合は、発情の可能性があるかもしれません。
発情により食欲不振が見られる場合は、不妊手術を検討しましょう。
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食事の変更により、食欲が変化することもあります。好みのニオイ・味ではない食事は、一切口をつけない犬や猫もいます。
特に猫は、食事の変化に敏感であることも多いです。同じ製品でも新しいパッケージに変えたり、違う製品へ変更したりすると、食欲が落ちるかもしれません。
その場合は、原材料の変更がないかメーカーに確認したり、食事を元に戻して食欲を確認したりと、好みの問題かチェックしてみるとよいでしょう。
食事の変更とは逆に、同じフードをずっと与え続けると飽きて食べなくなってしまう子もいます。特に猫に多く、ローテーションをして与えないと食べない犬や猫もいます。
また、トッピングやおやつを与えすぎると、それが出てくるまで食べずに待っていることもあります。性格に合わせて食事を選択しましょう。
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フードを開けたり閉めたりすることで酸化し、香りや味が落ちてきます。
ドライフードは冷暗所で保管し、開封後は1か月以内に使い切るのが目安です。ウェットフードの場合は、開封後は冷蔵保管で数日以内に使い切るとよいでしょう。
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ペットフードのパッケージの裏に記載されている給与量は、「1日あたり」であるのが一般的です。1回あたりなどと誤解して倍の量を与えてしまう飼い主さんもいるため、今一度給与量を確認しましょう。
多くの市販製品にはカロリーが記載されていますが、おやつや手作り食を与えると、カロリー計算が複雑になることもあります。適正な給与量・体型を維持するために、しっかりカロリーを計算してあげてください。
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引っ越し、来客、模様替えなどによって行動や食欲が変化することは多いです。また、雷や豪雨といった天候の変化、自宅近くでの工事や花火など、家の外で起こっていることが影響する場合もあります。
犬や猫にストレスがかかることは、可能な限り避けましょう。サプリメントや薬を使用して単発のイベントに対処できる場合もありますので、動物病院へ相談してみてください。
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動物病院や、トリミングサロン、しつけトレーニングなどで疲れてしまうこともあります。非常に疲れているときに無理に食事を与えると、嘔吐・下痢の原因になるため、休息を優先することも必要かもしれません。
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明らかに病気ではなく、原因のわかっている食欲の低下であれば、自宅で飼い主さんが対処することも可能かと思います。しかし、心当たりがなかったり、判断に迷ったりする場合は、病気が潜んでいることもあるため動物病院を受診しましょう。
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